と考えている。五、水産物輸出入対策についてこの問題は、今次交渉の中においてイワシを中心としたバーター方式が公式に論議される等、水産物の輸入問題について現実化しつつあることを我々は重視しなければならない。二〇〇カイリの新しい時代に入り、かねてから我々は水産物輸入問題についての動きを重視してきたが、今日の事態に立って避け得ない現状を認識し、緊急に対策に当たるベく全漁連及び中小漁業団体を中心に早急に対策協議会の設立を提唱し、徒らに時代の趨勢に迎合した一部輪入業界の暴走を抑制し、生産者自らもその輸入機能に参画し、日本全体の調整の中でこの問題が解決さるれよう努力していくべきものと考える。六、当面する事態に対する全鮭連の対応しばしば述べた如く、この重大な局面を迎えた日ソ漁業交渉にあたり、ことの重要性を踏まえその推移を見まもりつつ対処して行きたいと考えている。特に六〇隻にのぼる休漁船の選定を強行し、四月三十日の出漁を期待し、既に各現地には残存出漁総数二五四隻が集結し、刻々と経過して行く漁期の最中にあって、そのいらだちは正直いって隠すことのできない現状である。この徒らな時期の経過によって蒙る経済的損失はきわめて大きなものであり、これに対する国家的補償の措置も当然要求されなければならないものである。先に述べた如く、今次交渉のもつ重要性と、また、以 上に述べた現実との間に立って苦悩しているのは漁民の偽らざる姿である。全鮭連はこの事情を冷静に受けとめ、将来に誤ちを犯さざるよう関係業界とも協調しつつ事態に対処して行く考えである。(北海道大学水産学部図書室所蔵)(以 上)394第4章 水産業
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