北海道現代史 資料編2(産業・経済)
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二〇〇海里時代における水産振興の基本方針3─2 1 基本方向本道水産業は、近年水産物需要の伸びを背景に漁場の外延的拡大、生産技術の開発とその進歩などによって生産を増大し、本道経済の発展に大きく貢献するとともに、我が国最大の水産基地として、国民食糧の供給のうえで重要な役割を果たしている。特に、最近における食糧需給の動向から我が国における動物性たん白食糧の半数を占めている水産物の安定的な供給の確保が強く望まれており、今後とも本道水産業に対する期待は大きいものがある。しかしながら、本道水産業を取り巻く諸情勢は、一段と緊迫の度を加え、かつてない重大な局面に立たされて二〇〇海里時代の水産振興水産業の振興北海道『北海道発展計画』一九七七年いる。国際的には、海洋二〇〇海里時代を迎え、米国、ソ連をはじめ欧州共同体など各国の漁業専管水域設定の動きなど、世界の情勢は急激に変動しており、北洋漁業に大きく依存する本道水産業は、甚大な影響を受けることが避けられない情勢にある。一方、国内的には、経営の近代化の立ち遅れに加えて、石油危機を契機とする燃油、資材費、人件費等の生産コストの高騰などにより、本道水産業経営は著しく圧迫されており、更に二〇〇海里体制への厳しい対応に迫られている。また、本道周辺漁場の重要性が見直されているなかで、一部沿岸海域や河川、湖沼においては、都市化、工業化の進展に伴い、漁場環境の悪化が懸念されている。したがって、このような現状をふまえ、本道水産業が食糧の供給機能を一層高めるとともに本道経済の発展に大きく貢献するためには、水産業を国の食糧政策のなかで高い位置づけをし、生産、加工、流通の各分野にわたる施策を総合的、計画的に推進することはもとより、流動する国際情勢に即応しつつ、水産物の生産と供給の確40018 第4章 水産業    (2) 

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