北海道現代史 資料編2(産業・経済)
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なった母貝集団も形成され順調に生産が行われ栽培漁業の実証例として注目を集めている。なおこの種の例はオホーツク海の他のホタテガイ漁場でもみられている。海 本道を代表する海藻としては、全国生産の八三・三%〔昭和五五~五九年の五カ年平均(一四三、〇五八トン生、生産量)、農林水産省統計情報部〕を占めるコンブを挙げることが出来る。コンブ増殖の歴史は古く、万延元年、山田文右衛門の投石によるコンブ増殖事業に始まっている。現在、増殖対策の一つ、漁場造成として、砂浜海域ではブロック投入に加え、ネトロンパイプ方式、ふとん篭方式、鋼管パイル方式等の方法が導入されており、岩礁海域では平盤切下げが一般に行われている。コンブ漁場の雑藻駆除としては、従来の採取用具による除去やダイナマイトによる岩面剥離の手法のほか、近年、高圧水噴射方式・チェーン振り方式・曳行式雑藻駆除方式による装置の開発が進み、漁場つくりは順調に行われている。物を設置し付着させる天然採苗のほか、人工採苗では各地に採苗場が建設され、養殖業でも技術が確立し安定生産が行われるようになった。適正発芽管理、海の生産力の有効利用等、細かい管理のもとに通常二年間かかる養成を一年間で行ない、計画生産が可能な画期的技術として、現在、噴火湾等で実施されている。栽培漁業を健全に発展させるためには、多くの解決を要する課題がある。その一つとして、種苗生産、放流に際し、種苗の質の問題があり、このために遺伝育種に関する研究の充実、雌性発生や核移殖、細胞融合等のバイオテクノロジー導入による優れた形質をもつ品種の育成や漁場における基一方、採苗も天然では遊走子の放出時期に海中に基とくに四〇年代に技術確立した促成養殖は早期採苗、3.今後の課題第4章 水産業       藻 (3) 404

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