北海道現代史 資料編2(産業・経済)
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国際関係の変化と北洋漁業の大幅減船Ⅰ 本道水産業をめぐる情勢1 本道水産業を取り巻く環境本格的な二〇〇海里時代を迎え、沿岸各国は二〇〇海    里に対する考えを権益確保から、自国の漁業や経済発展を図るために二〇〇海里制度を最大限に利用する方向を強めてきている。こうしたなかで、日米漁業関係では我が国漁船の米国水域への入漁が年々規制される一方で洋上買い付け事業(JV事業)が拡大してきており、日ソ漁業関係では、六一年秋の日ソ地先沖合漁業交渉において有償入漁方式が導入されるなど国際漁業の枠組みに大きな変化が生じている。沖合・遠洋漁業の縮小再編と水産物輸入拡大の影響北海道水産部『北海道水産業の現況』一九八七年また、六二年二月の日ソさけ・ます漁業交渉の結果、協力費が増額されたほかはほぼ前年並みの操業条件が確保されたが、この交渉で、ソ連は我が国二〇〇海里内(特に日本海)の規制をこれまで以上に強く主張してきているほか、北転船等が活用している公海(べーリング、オホーツク)操業について、ソ連等から規制の要求がでてきている。さらに、懸案である韓国漁船問題については、未だ二〇〇海里法適用の見通しが得られておらず、六一年一〇月に政府間の暫定措置が一年間を最長として延長され、協議が継続されているが難航している。一方、水産物に対する国民の消費・需要が依然として低迷しているなかで、水産物の輸入量は円高等により急激な伸びを示しており、加えて、米国はいわし、すけとうだら等非自由化品目制度(IQ制度)の撤廃を強く要求するなど、本道水産業を取り巻く内外の環境は、一層厳しくなっている。このようななかで、道内の漁業経営は、燃油価格の低下はあるものの、いかつり漁業の不振、秋さけ等の魚価42525 第4節 グローバル化の進展とバブル崩壊後の水産業(2) 

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