北海道現代史 資料編2(産業・経済)
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北海道漁業協同組合連合会『道漁連60年の軌跡』水産物輸入拡大と魚価低迷〈一九九三~九四年〉5.輸入増と景気後退、好不漁にかかわらず魚価が低迷平成五年度はバブル崩壊後、金融機関の不良債権処理、 企業のリストラ等で不況が長期化し、円高が一段と進んで水産物の輸入量が増大した。道東の春鮭鱒の漁獲枠は小型漁船三、四〇〇トン、全   安の七〇〇円、七月にはさらに値下がりしてベニは一、鮭連所属の大型船一万六、四〇〇トン、旧母船式の日鮭連五、六〇〇トンだが、大型船のベニサケは六月前半は前年対比kg三〇〇円安の一、九〇〇円、トキは二〇〇円五〇〇―一、三〇〇円、トキは五五〇円に値下がりした。魚価の下落はチリの養殖サケの価格が下ったことと、アラスカのブリストル湾のベニが好漁だったことによる。輸入価格はドレスで六三〇―六〇〇円、ラウンドで四〇二〇一一年〇円の安値となって国産鮭の市況を圧迫し、浜値が落込んで道漁連の春鮭鱒の取扱高は前年度より一〇〇億円近く下回った。また、日ロ共同事業のカニ、エビの取扱が減少し、トロール船がロシア海域で洋上加工していたすり身と助子の取扱も減少し、八月末時点での当期利益は三、八〇〇万円の赤字が生じた。八月末の赤字は過去一〇数年以来初めての経験だった。これまでは水揚げが少ないと浜値が上昇し、需給のバランスはとれていたが、輸入水産物が氾濫し、バブルがはじけて景気対策が遅れているせいか、漁獲が少ないのに価格が低迷する現象が顕著となってきた。昆布は前年度後半の消流停滞による在庫過多で平成六年は平成三年に匹敵する二万四、〇〇〇トン台の減産にかかわらず価格は低落するが、昆布以上に打撃だったのは秋鮭の暴落問題である。鮭定置網漁業は漁期当初に沿岸の水温が高かったため秋鮭が接岸できず、それが九月〈中略〉8.秋鮭が暴落43026 第4章 水産業

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