下旬の台風で沿岸水温が変わり、一気に接岸しはじめた。北海道の秋鮭の一日当り処理能力は三、〇〇〇―三、五〇〇トンだが、台風後は四、〇〇〇トン、ピーク時には六、〇〇〇トンの水揚げがあり、品質劣化と一時的な集中水揚げ、またトラックの過積載罰則強化による輸送力の低下など悪条件が重なって浜値が下落した。北海道の秋鮭漁獲量は平成四年の不漁年に七万六、九三三トン(平均単価五五八円/kg)、平成五年一一万一、七〇〇トン(同四七二円/kg)、平成六年は過去最高の一三万五、六四〇トン、平均単価は前年より半値以下の同二三六円/kgに暴落し、漁獲金額は前年比二〇七億円減の三二〇億円にダウンした。平成五年の水産物輸入量は三一二万四、〇〇〇トンとはじめて三〇〇万トンの大台を突破した。輸入の増大は国際的漁業規制、近海資源の減少、水産物の需要増、外食・量販店や消費者のニーズが輸入品に移行するなど環境の変化もあるが、もうひとつの大きな要因は円高の進行である。平成六年七月以降の円相場は一〇〇円を切る円高で一一月二日、東京外為市場の円相場は一ドル九六円三五銭と戦後最高値をつけた。サケマスの輸入量も平成五年二二万九、〇〇〇トン、平成六年は二四万トンを突破し、魚価を左右するイクラ、筋子の魚卵輸入量も国内生産量を三、五〇〇トン上回る一万四、六〇〇トンに達し、道産秋鮭の浜値を押し下げるようになった。(信漁連・漁連図書資料室所蔵)431第4節 グローバル化の進展とバブル崩壊後の水産業
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