北海道現代史 資料編2(産業・経済)
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資料30は、雪印乳業大樹工場の脱脂粉乳などが原因で生じた集団食中毒事件に関して、社内に向けられたメッセー二〇〇〇年代に入り、食の安全にまつわる問題が次々に事件化し、食の安全とそれに対する企業の社会的責任が社会問題化した。北海道でも様々な企業・商品で事故・事件が生じ、問題となった。これらの多くは、企業の悪意からではなく、食品業界全体の意識や慣行と社会の状況とのギャップによって生じた問題といえるが、多くの企業にとって、社内の意識や体制を見直すきっかけとなった。ジである。資料からは、当時の社内での混乱や管理体制の不備、経営陣の認識の甘さがあったこと、一方でそれらの問題を意識した新たな対策を構築しようとしたことを読み取ることができる。二〇〇二(平成一四)年にグループ会社の不祥事が生じたこともあり、雪印乳業は新たな再建計画のもと再出発を果たすことになった。雪印乳業は、二〇〇三年秋に、新たな企業理念・ビジョンを作成するとともにそれを実現するための行動基準を作成した。資料31はその行動基準を社内で定着させるために作製された工程表である。また、雪印乳業は、再建計画の一環として、事業を五社に分割した(資料32)。その後、再建を果たした雪印乳業は、CSRの強化・徹底を継続することで信頼を回復し、現在は雪印メグミルクとして、北海道及び日本を代表する企業であり続けている。同様に、二〇〇五年には、よつ葉乳業でもチェダーチーズの製造工程で金属片が混入する事故が生じた。よつ葉乳業は、事態の把握と対応に取り組むとともに、設備の改修を進めた。同時に、事故のあった二〇〇五年を「製造改革元年」と位置付け、同社の再生を意図した長期計画を策定した(資料33)。また、資料34は道内乳製品工場の再編議論に際して行われた道職員による聞き取り調査の一部である。ガットウルグアイラウンドでの合意以降、国際化に備第三節 企業の社会的責任と食の品質442第5章 工業・情報通信【工業(消費財)】    

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