北海道現代史 資料編2(産業・経済)
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新会社の発足に当つて四月一日から日本製鐵株式会社は製鉄方面において八幡製鐵株式会社と富士製鐵株式会社の二社に分割されることゝなつた。これは日本における重大事件の一つであることはもちろんだが、わが鉄鋼業に及ぼす影響はまことに容易ならざるものがあると思われる。     周知のとおりわが国経済民主化の一環として昭和二十二年末過度経済力集中排除法が制定され、それに基いて日本製鐵株式会社輪西製鐵所『白樺』一七〇号所長 一九五〇年四月日鐵も分割されることになつたのであるが、その主眼とするところは、自由競争、自立経済体制の確立ということであり、換言すれば、生きる者は生き、生きる資格のないものは脱落するという冷厳な法則が掛値なしに行われることになると言えるのではないかと思われる。このことを先ずしつかり胸にたゝんでおく必要がある。一体、現在の日本の経済事情は客観状勢に左右されるところが極めて大きく、斯くあるべしと一旦決めたことでもそのとおりに実現することはなかなか困難であり、そこに色々な変更なり変化なりが起つてくる。そうした香春 三樹次 場合、その変化に順応できるところは当然それに対する応急の処置をとることができるがその態勢の整つていないところでは、マゴマゴしている間に時間的ズレが生じ、そこからキズが大きくなつて遂には破滅してしまうということになる。どんな変化にも順応し得る態勢とは何かというと、工場の技術面とか経理面とかにユトリを持つことであり、それを可能ならしめる道は、休むことなく推し進める合【工業(資本財)】【資本財】第一節 戦後復興期の混乱1 日本製鐵の分離447第1節 戦後復興期の混乱

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