き下げが重要課題となった。当所では、これに対応して四万五千トン―五万トン級の専用船の岸壁埠頭一バース(延長二百五十メートル、水深十三メートル)を築造し、これに見合う荷役設備として、荷揚能力一時間当り千トンの超大型アンローダー二基と、その他受入れ設備を本年七月に完成した。なお、巨大な専用船を接岸させるため超大型タグボート一隻(百九十五トン「あさかぜ」)を建造した。粗鋼は前年度比六七%の伸び以上の各設備の完成によって、当所の生産量は、銑鉄から鋼材までの全品種において大巾な増加を示しているが、さらに、全設備がフル稼動する本年度末には、銑鉄月産約十七万トン、鋼塊月約二十万トン、鋼材月約十七万トンという生産が見込まれている。この伸び率は、三十五年度末を基準にとると、銑鉄で六六%、鋼塊で六七%、鋼材で四九%となり、また、一人当り粗鋼生産量では月十三トンから二十トンへと、五四%の伸びになる。新聞用紙の需要増加傾向に関しては、先程御説明申上げた通りでありますが、結論として政府の所得倍増施策の実施に伴い、国民所得成長率高度化の観点より、新聞用紙の需要については、年々成長率七・三五%が見込まれ、昭和三五年を基準として一〇年後の四五年に於いては、最少限二倍強の消費拡大が予想され、増産の必要性は茲に申上げるまでもありません。これらの状勢に即応し、弊社も新聞用紙全国供給比率を現在の三〇%程度を維持し、我が国の新聞用紙供給の安定を図ると共に、貿易の自由化に備え、国際競争力を培養して参りたいと考えております。苫小牧工場製造設備増設理由(日本製鉄株式会社室蘭製鉄所所蔵)苫小牧市企画室開発調査係「王子製紙第三工場 誘致運動記録綴」一九六一年5 苫小牧工場製造設備増設理由461第2節 高度成長期の大型投資
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