北海道現代史 資料編2(産業・経済)
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これが対策として、弊社苫小牧工場新聞用紙製造設備  記の増設を計画した訳でありますが、その理由について技術的、経済的、地域的及び原料事情の観点から下記の如く御説明申上げて見たいと思います。1.紙パルプ製造技術革新とオートメーションについて御承知の如く、世界的技術革新の状勢は、紙パルプ製造技術についても近年著しき変革を与え、特に装置工業としての立場から、機械設備は大型化、高速化、機械化によるマスプロ方式が強化され、且つプロセスのオートメーション化が技術的に検討されるに至り、プロセスコントロールも、ハンドマニュアルオペレーションから最近は、グラフィックパネルコントロールへ、近い将来電子計算機に依るフィードバックコントロールに移行の可能性が見透される状勢にある。従って、原料及び動力プロセスに於ては、既に中央制御システムが採用され、計装化が急速に進行している。弊社苫小牧工場既設紙パルプ製造設備に於ても、部分的には計装化の方向を指向し、原料面プロセスに於ては、ブロック制御方式を採り入れているが、紙生産能力としては日産一、〇〇〇瓲工場であるも、明治四三年創業以来五〇年の変遷の中には、増設につぐ増設により、機械装置は新旧跛行して運転されている為、技術革新の状勢に即応する系統的技術組織の確立が限界に達し、到底中央制御に依る綜合的オートメーションの採用は不可能な段階である。従って既設の紙パルプ製造設備は、抄紙機一一台を以て限界となり、生産性に於ても投資効果の点に於ても、新たに増設する事が不可能なので、既設工場に併設して新規の計画を以て世界最高水準を目標に、新技術に依るオートメーション工場一セットを増設する方が、資本及び労働の生産性向上の見透しから、経済的にも技術的にも管理的にも有利且つ製品の均一化等オートメーションによる近代的品質管第5章 工業・情報通信【資本財】(イ) (ハ) (ロ) 462

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