北海道現代史 資料編2(産業・経済)
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シカシ、世界デ建造スル需要ノ大半ワ二〇万重量トン以上ノ大型油送船デアリマス。マタ、バラ積ミ船ニシテモ船型ノ大型化ガ著シク、鉄鋼原料、石炭、鉱石等ワ一五万重量トン以上ノ大型船建造ノ傾向ニアリマス。ワガ社ノ現在ノ生産主力トナッテイル二五、〇〇〇重量トン、マタ、六〇、〇〇〇重量トンパナマックス型ワ、スデニ世界的ニ見テ充分需要ヲ満タシ、ムシロ施設過剰ノ現状デアリマス。コノママ二万〜六万トン程度ノ船ノ建造デ推移スルナラバ、近イ将来ニ受注難ト船価ノ切下ゲニヨリ、過当競争ノ場ニ立タザルヲ得ナイコトガ明白デアリマス。幸イニ、ワガ社ワ昨年カラ大型修理ドック三〇〇、〇〇〇重量トン型(幅五八m、長サ三三五m)ノ建設ニ着手シ、明年四月ニ完成ノ予定ナノデ、コノ機会ニ大型修理ドックニ平行シテ、幅六〇m、長サ三六〇mノ建造ドックヲ建設、三〇〇、〇〇〇重量トン型ノ新造船建造ニ移行スベク慎重ニ研究シ計画ヲ練ッテイル次第デアリマス。モシ現状ノママデオリマスト、将来、会社ワ工事量ノ確保サエ困難トナリ、自滅ノ恐レガ多分ニアリマス。コノ際、社運ヲカケテ大型船建造ドック建設ニ邁進(マイシン)シナケレバナラナイ時期ニ到来シタノデス。今ヤ全社ヲ挙ゲテ強力ニ推進シテ行カナケレバナラナイ一大転換期ヲ迎エタワケデアリマス。シカシ、建造ドックナラビニ付帯スル近代的設備、機械整備ニワ約一〇〇億円ノ資金ヲ投入シナケレバナラナイワケデ、現在建設中ノ修理用ドックノ建設費ヲ含メルト約一四〇億円ノ資金ガ必要デアリ、ワガ社ニトッテ重大決意ノ必要ナ場面ニ立タサレテイルノデス。トコロガ、コノ建設計画ヲ見テイカニモ会社ガ景気ガヨイヨウニ錯覚シ、安易ナ考エヲ持ツ社員ガアッテワ大変ナコトニナルト心配デナリマセン。コノ建設計画ヲ成シ遂ゲナイト、将来マッタク近イ将来、会社ノ運営ニヒビキ、受注ニモ採算面ニオイテモ非常ナ困難ニ直面スルコトワ明白デアリマス。コノ設備ノ完成ト同時ニサラニ大切ナコトワ、コノ大470第5章 工業・情報通信【資本財】        

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