北海道現代史 資料編2(産業・経済)
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ます。皆さんのこうした懸命な努力に対し、私は、冒頭まず、心から感謝の意を表する次第であります。さて、鉄鋼業を取り巻く情勢は、これまで堅調に推移してきた国内需要にも天井感が生じているとともに、電炉メーカーとの競争、中進製鉄国からの鋼材輸入問題さらには米国の鉄鋼輸入規制問題も加わり、本年は予断を許さない状況にあります。かかる中にあって当所は、皆さんの懸命な努力により着々と体質が改善しつつありますが、依然として大幅な赤字基調が継続し、しかも本年は、大形休止、連熱工場二交代化の実施に伴う稼動率の低下により、損益面において極めて厳しい条件への移行を余儀なくされ、誠に容易ならざる事態に直面しております。一方、当所の生産品種は需要が堅調な高級棒鋼・線材、       を、特殊鋼の室蘭の確立に向けてスタートする年と認識クロム系ステンレス・高炭素鋼板等の特殊鋼主体に移行することを踏まえ、昭和六十年代の幕開けに当たる本年し、特殊鋼専業メーカー等に比し競争力を有するための抜本的諸施策を強力に推進していくことが我々に課された最も重大な責務であります。またこれを機に、中長期的にも競争力ある新しい製鉄所を築きあげるという視点で、生産・設備・コスト・品質・技術はもとより、諸制度や所風などすべてについて、如何にあるべきかを追求し、新たな体質の構築に着手しなければなりません。以上のような観点から、私は本年の基本方針を「競争力を強化し 一、新生産体制への円滑な対応と早期定着化二、新たな観点からの徹底した収益改善の推進三、明日を拓く技術力の強化・充実四、全員参加で災害ゼロへ挑戦の四つの具体的方針を掲げ、皆さんとともに、積極的に取り組んでまいりたいと思います。第一の方針は、「新生産体制への円滑な対応と早期定確固たる特殊鋼の室蘭を」とし、新生産体制への円滑な対応と早期定着化474第5章 工業・情報通信【資本財】

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