北海道現代史 資料編2(産業・経済)
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かるには酪農基盤の育成を考慮しつつ、一方に於いて良質低廉なる乳製品の供給をなすべきであるとの信念に基き、会社設立と同時に肉製品事業、皮革事業、製薬事業、種苗事業等の各種非関連事業の整理を断行し、主要乳製品工場に於いては欧米先進国の機械を輸入して設備の近代化を計り、専ら事業の合理化に努力し、此の間見る可き成績を挙げておりますことは発足当時と現在の乳価及びバター販売価格を比較する時明瞭に知ることができます。昭和三十二年度に於いては農林省統計によりますと、全国生産乳量は七三八万石に達する事が予想され、当社に於いては発足以来鋭意基盤酪農地帯の育成に努力致したる結果、今年度に於いては処理乳量は一一〇万石に達するに到りました。然るに乳製品需要の市場を遠く離れております立地条件の下にあつては、北海道内市乳の需要は見るべきものがありませんので、増産せらるる牛乳は殆ど全部加工原料として乳製品製造を為さざるを得ない現況であります。業界に於いては市乳を制するものは乳製品業界を制すると極言せられておりますが之は市乳事業の収益性及び安定性の故であります。然るに当社に於いては地元市乳需要一〇%に過ぎません。依て市乳事業の重要性に鑑み、東京都及び青森、宮城、長崎、愛知の各県に進出を試みましたが、永年の販売地盤を有する他社に比肩すべくもなく、現在僅かに当社乳量の十二%を消化し拠点を印したる程度に過ぎず、元より北海道内原料を市乳化すべき手段もなく、全乳量の三七%〜四三%を市乳として販売している明治、森永二社との経営基礎の決定的相違点となり、余勢をかつて安定せる道内酪農基盤を攪乱せん為の政策的乳価の跳梁に任せている現状であります。翻つてマーガリン業界にありましては、品質の向上に     伴い逐年需要は増大し、本年に於いては七万屯に達するに到り、国民食生活に於ける脂肪給源の中核として今後愈々発展すべき事が予想せられる処でありますが、この事は一面に於て米国に於けると同様バターの消費にも大488第5章 工業・情報通信【消費財】

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