北海道現代史 資料編2(産業・経済)
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なる影響を与えつつあります。当社に於いては発足当時より、その立地条件並にバター事業の劣性をカバーする為に、アイスクリーム事業を進めて参りましたが、之も現在競争熾烈にして利益は低下し且つチーズと共に約一〇%の原料乳を処理するに過ぎません。又育児用粉乳、煉乳等の需要は固定して伸びず、必然的に増産する大量の牛乳はバター及び原料用大缶煉粉乳の増大となり、之が最近に於ける乳業界の重荷となつて居ります。当社に於ける本年度のバター約九七四万封度の生産を見るに到りましたが、バター生産に主体を置く当社としては、更に事業の劣性を増加する二つの事実を特記しなければなりません。一つには従来北海道の乳価は、気候及び自家生産飼糧の関係より放牧期の夏期乳価を低く、購入飼糧による舎飼いの冬期乳価を高くし原料乳生産コストに順応した乳価が策定せられて来ましたが、昭和三十年夏季より東京及び大都市附近の市乳原料乳争奪戦の影響を受け内地乳価の動向に追随する事となりその結果、冬期乳量少なく生産コスト高き時に低乳価となり、夏季盛乳期の大量の(六割)原料乳を大都市周辺の年間最高の市乳価格に順応したる乳価にて買取り、バター其他に加工し、約六割の販売を為す冬期間にこれを持越して、内地の年間最低乳価により生産されたるバターと競争せざるを得ない事情となつたのでありまして、北海道に於けるバター事業開始以来の重大変革であります、今一つは、吾国に於いて煉乳生産開始以来の恩典でありました製菓原料用大缶に対する砂糖消費税戻税制度の撤廃(昭和三十二年八月三十一日)であります。是等の二点は、愈々決定的にバター生産事業の劣性を     当社としては、牛乳処理の製品別比率よりして、牛乳増高めたのでありますが、年々三割に及ぶ牛乳増産に対し産に上廻るバターの生産増加を見るのでありまして、その消流を円滑ならしめて酪農民の負托に答え、当社創立の使命を果すには、バターの販売価額を引下げ、一般消費大衆の需要を迎えるの他はありません。而し之も乳価489第1節 大衆消費の時代へ

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