る。しかし時代の推移はビール市場も売手市場から買手市場へと性格を変え、生活の安定化による商品撰択の傾向を促進して来ると、新参者のニッポンビールは商標力の弱さを免がれず、業界に於る市場占拠率は下る一方となった。その間、種々検討を重ねた結果、当社の持つサッポ ルを貼って登場し、同四月には宝酒造㈱長年の懸案でロの商標を復活することに踏切り、昭和三一年北海道市場をテストマーケツトとして発売したところ、非常に好評を博したので翌三二年二月全国的に発売するに至った。この年(三二年)は、サツポロの発売に一カ月遅れてアサヒゴールドがレイモンドローウイ(ピースのデザイナー)のデザインになるデラックスなラベあつたビール部門への進出が成つて、タカラビールが発売される等華々しい販売合戦が展開されたのである。サツポロの復活はアサヒゴールドの反響などあつてさしたる効果を挙げることは出来なかつたが、一応当社の劣勢を喰止め得た点成功であつた。られ、七十数年の伝統に積極的な宣伝活動の助けを借りて大きな飛躍をみせて大巾に市場占拠率を回復することが出来た。更に昨年は取引条件の強化などで増加率に於てはキリン社に及ばなかったが、ウオルターランダールの斬新なデザインによる缶入サツポロビールの発売などあって、サツポロの声価を高めた点今后に期するところ大である。本年も引続き好調な売上をみているが依然キリン・朝日の両者と相当の差のあることを認識し、市場占拠率一/三を目標にあらゆる面において一段の努力が望まれている。であり、朝日社が戦前から最も商標力の強い三矢サイダーを、当社がリボンシトロン、キリン社がキリンレモン、キリンサイダーを各々発売することによって飲料水の面に於る三社の販売競争が開幕した。サイダー昭和三三年は、サツポロの品質面での優秀さが認めリボンシトロン、リボンジユースの推移当社発足当時、飲料水と云えば、所謂サイダ類のみ第1節 大衆消費の時代へ(2) 495
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