アサヒ社と北海道側との合弁で会社を設立してはいるが、498北海道朝日麦酒社が、販売力も順調になり、内容的にも実力がついたならば、アサヒ社の保有している株の全額を、希望によっては北海道側に提供しても差支えないとまで言明されている程なのであります。昨三十九年九月二十七日、札幌郊外月寒において、朝野各界の代表者百数十名の臨席の下に、待望久しき工場建設の鍬入式が厳粛に挙行されました。十月一日より建設の工事が進められ、現在は岐線工事が完成、旧臘十二月二十一日試運転が行なわれました。サイダー工場は十二月中に、屋根と壁ができ、本年五月中旬までには竣工の予定になっております。さらに倉庫は目下鉄筋組立作業中で、これも本年五月中旬までに完成の予定となっております。次いでビール工場は基礎打準備中で、四十年末までに本工事を完成し四十一年春には北海道のビールとして生に求めなければならないのか―それには、それら有能の人材を受入れる企業がないからではないか―との考えから朝日社の株主、役員を説得されて、北海道が必要とする理想的な経営が実現することに努力せられたのであります。従来の北海道産業の推進も、第二次総合開発も、建築原料、労務賃、運賃等々の立地条件の悪いことにおいて、工場の誘致もなかなか困難でした。そこで工場を作ってその製品の大半を北海道で消化することを主体に、企業の資金と技術を本州から導入して、本道の労力を生かし、本道人によってビール産業が企業化されること、これこそ真に北海道の血となり肉となる理想的な企業形態ではなかろうか、ということで、当初の山本社長の意向は朝日社の北海道工場建設という理念だったものが、その後どうせ工場を作るなら、北海道のためになる工場を建設しようということで、英断を以て北海道朝日麦酒株式会社が、町村知事を始め各層代表者が設立賛成人となって誕生を見たのであります。しかも山本社長は現在の処は〈中略〉北海道朝日麦酒工場の建設着工と推移第5章 工業・情報通信【消費財】
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