北海道現代史 資料編2(産業・経済)
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当初一工場の一日裁断能力六〇〇屯であったのを二九年度より各々一、〇〇〇屯に増強し、本年度は甜菜糖業創始以来の最高生産高八二万担(約五万屯、戦前最高昭和十二年約四万二千屯、戦後の最低は昭和二十三年の約六千屯)を挙ぐるに至って居ります。今後原料甜菜の増産が順調に推移致しますならば二年後には現存三工場では能力不足の状態となりますので、御計画の内道南一工場は妥当と思はれますが、当局に於ては同時に更に一工場を網走支庁管内に新設の御意向があり、右に対し、芝浦精糖会社が強い希望を持って居る様でありますが、右網走支庁管内は弊社現有三工場の主たる原料契約栽培地であり、三十数年来弊社が苦心開拓の結実であり、又現実の問題としても他社が弊社の心臓部たる此区域に割込むことは原料面に於て直ちに現有三工場の死命を制することゝなり、区域内甜菜耕作に混乱を生じ増産に不測の障礙を惹起する結果となります。もともと現有三工場の中磯分内、士別、両工場は昭和十年弊社が将来甜菜の増反に最も希望を持ち得る網走地区と道南地区に増設すべく、敷地の選定まで行ひましたものを当時根釧原野及天北原野の開発が進められ、国と北海道庁は其計画に基き地元で原料が増産せらるゝまでは網走地区に於て其不足を補ふ事を条件として、当局の御指図に基き不利を忍んで現在の地に建設したものであります。爾来二十四年を経過した今日に於ても両工場共国の開発政策が中断のため、地元に於て原料を確保し得ず其不足を補ふため弊社は鋭意網走地区の開拓に努力して漸く今日の状態になって居るのであります。従って此地区に他社を進出せしむることは苦心開拓の既設事業に対し脅威を与ふること甚しく希望を以て北海道に於て事業を経営し得ない事態ともなる次第でありまして、延いては堅実なる事業経営者の進出を躊躇せしめ北海道開発上由々しき事態を生ずる虞大なるものありと存じます。右事由に依り網走支庁管内に於て、政府の増産計画に  合的原料計画を樹立し、混乱を防ぐと共に三十数年来の基き、弊社にて一工場を新設し、現有三工場との間に綜技術、経験と地区内の施設(地区内主施設、原料駐在所500第5章 工業・情報通信【消費財】

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