北海道現代史 資料編2(産業・経済)
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ーズとして出荷するほか、全国の系統農協の販売協力も得る予定になっている。このため全国で合意されていた根室地域のチーズ工場はバター、脱粉などの一般工場として適期に建設することになる。十勝工場に併設されるのは同工場ですでにソフトタイプチーズの製造(味の素に供給)、ゴーダチーズの試作(早くから府県の消費者グループに試売)を行っており、さらに技術習得のため外国に技術者を派遣し、技術的裏付けがあること、同工場の施設、従業員、管理機能を活用出来る、独立工場では四十億円前後の建設費がかかりコストが高くなるなどの理由による。これからの問題点は販売ルートの開拓と完成時における配乳がどう措置されるかにあり、さらに製品価格と関税割当制度における均衡価格との差額を目的とした、国産チーズ生産振興基金の創設があげられる。販売ルートについては開拓中だが、すでにかなり目途がついているようだ。配乳は明年度のことになるが、指定生産者団体のホクレンも基本的に了解しているので、プラスアルファは期待出来るとみられる。基金については、当初の十万トン新設工場構想からはずれているため、今後どう対処するかは明らかでないが、なんらかの形における制度が必要になると思われる。いずれにしても現在海外のチーズ市況は高騰傾向にあり、国内消費量は一時横這いとなったが、最近再び回復基調にあり、潜在的需要は確実にあるとみてよい。又、他メーカーも増産体制をとりつつあるなど、チーズをめぐる状勢は好転しつつある。計画生産を余儀なくされている本道にとって、原料乳の消費増は歓迎すべきことである。施設にかかる支出を出来るだけ少くし低コストとするため、十勝工場に併設することにし、早春に着工し来年九月頃製品を出したい。工場は旧市乳工場の東側を予定している。製品の販売はすでに需要者と話しを煮つめている。国際価格の激変により輸入品に対抗出来ない場合宮崎栄作当社々長談513第2節 消費多様化時代     

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