北海道現代史 資料編2(産業・経済)
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ていることが認識できる。勿論構造改善対策あるいは輸入制限など、政府へ要請することも必要ではあるが、それに過大の期待をかけることはできない。やはり企業自からの力で生き残るための施策並びに努力がなされなければならないと痛感する。ミツウマは総ゴム靴を中心とする企業グループである    然であるが、当面の経営姿勢は総ゴム靴並びにその他のが、構造的な問題から小樽工場については多角化による脱履物化を進め、それなりの成果をあげてきた。しかし低成長の時期に更に多角化を目指すことには無理がある。勿論現在まで開発してきた部門の進展をはかることは当履物など、当社本来の分野に総力を結集すべきであると思う。半世紀以上にわたり築きあげたゴム履物の伝統は貴重な財産であり、他社の追随を許さないものである。これをより強化し、企業の特質を生かして行くことが当社の進むべき途ではなかろうかと考える。それ故に吾々は企業防衛の意識に徹し、あらゆる面で経営努力を重ねて他社より更に優位に立ち、当社のゆるぎない体制を確立して行きたい。それが実現されるならば、きびしい企業間競争に生き残りミツウマの隆々たる前途をきり拓くことができると確信するものであるが、従業員各位の一層の奮起を望むものである。そういう意味で先ず原価の低減をはかることが痛感される。当社の総ゴム靴は名実ともに業界のトツプに位しているが、遺憾ながら価格的には他社に比して優位にあるとはいい難い。そういう価格差が直ちに原価の格差を意味するものではないが、生産効率、資材、人員、経費の各面に検討を加え原価の低減を徹底して行きたい。技術については、特に如何にしてより安くより良い製品を作るかというメーカー本来の課題に応え得る生産技術の発展に全力を尽したい。若年女子労働力は減少しつゝあり、労働の質に問題が多い。そういう状況のもとで生産性の向上、不良率の減少は急務となつている。また、これと関連して工程の合理化省力化をも積極的に推進しなければならない。現代は衣食住のほとんどに流行があるといつて過言で519第2節 消費多様化時代

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