北海道現代史 資料編2(産業・経済)
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に、六月三〇日、和歌山市衛生研究所が、低脂肪乳より黄色ブドウ球菌毒素のひとつであるエンテロトキシンAをつくる遺伝子を検出した事実を受け、磯分内・幌延の脱脂粉乳検体のエンテロトキシン検査を実施し、七月二日から三日にかけて陰性の結果が出ました。それにより、脱脂粉乳に由来する事故ではないと判断するに至りました。しかし、大樹工場製造の脱脂粉乳よりエンテロトキシンが検出されたことから、これまでの一貫した「原料には問題なし」との判断が誤っていたことが分かりました。 従業員の皆さんは、何を根拠としてそのような判断をしてきたのか、あるいは、当社は一体どのような検査をしたのか、ということについて大きな疑問をお持ちだと思います。実は私ども経営層も、七月一〇日前後に、あらためて大樹を含めた六工場の脱脂粉乳サンプルを検査し、 エンテロトキシン陰性と確認致しました。それ以来、八月十八日の大阪市の発表までは脱脂粉乳に問題ありとは全く思っておりませんでした。先程ふれました通り、食中毒事故が発生した後、大阪  申しました通り、いずれにしても、エンテロトキシン毒工場で事故を引き起こした商品に使用されたであろうと思われる原料を調査致しました。その際、大阪工場の日報に、使用した脱脂粉乳の製造工場記号の記載ミスがあり、大樹工場製造脱脂粉乳の使用記録がありませんでした。その後、脱脂粉乳の配送記録から大樹工場製造のものが使用されていたことが判明しました。しかし、先程素の検査結果は陰性でありました。以来、大阪工場の衛生管理、工程管理上の問題と、再利用問題が中心となって、今回の事故の原因が工程内に絞られて究明されてきたわけですが、今回大樹工場の脱脂粉乳からの毒素検出によって事故原因が新たに加わったと見ざるを得ないと私は考えております。大樹工場については、八月十九日・二〇日に、北海道保健福祉部及び帯広保健所の調査が入り、四月一〇日のみならず、四月一日製造の脱脂粉乳からも、エンテロトキシンが検出され、八月二十三日、当該脱脂粉乳の回収524第5章 工業・情報通信【消費財】

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