北海道現代史 資料編2(産業・経済)
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青木由直『μコンピュータの研究』一号  「μコンピュータの研究」発刊に際して昨年電子工学科の四年目の学生(本号の山本君)に卒論のテーマとしてマイクロコンピューターをやってもらった。CPUはインテル社の八〇八〇を用いようということで、昨年の秋頃購入した時には八万数千円であった。それが月を追うごとに安くなり、一カ月たつと値段が一/二になったといっても過言ではなく、現在ではもう一万円程度で手に入るようになった。マイクロコンピュータの組立ての方も進み、システム・モニターをROMに固定し、テレタイプを介して入出力ができるまで一九七六年になった。こうなると後はソフトウェアの勝負で、前述の山本君は自作のコンピュータで、四則演算、FFT(高速フーリエ変換法)、ディスプレイなどのソフトウェアを次々に開発していって、マイクロ波ホログラムからの像再生などの僕の研究に有力な武器となり得ることを証明してくれた。また今年の大学祭にはこのマイクロコンピュータで、CRTグラフィックディスプレイによるホッケーゲームを作り公開したが、電子の四年目の学生青木 由直 の飲食店(客が不入りで二日目には倒産、しかしどうして大学生はこうも飲食店経営が好きなのかと毎年の大学祭を見て感じる)に置かせてもらっただけでほとんど反響はなかった。しかし、傍で見ていた僕にはマイクロコンピュータの持つ可能性を非常に強く感じた。もう自分のコンピュータを持てる時代だという感じである。もう少したてば、研究者が電子回路を組立てるように自分のコンピュータを組立て、今のアマチュア無線のようにコンピュータ作りが趣味となって拡大してゆくだろう。これはこうしてはいられない、自分でも勉強せねばと思い、第四節 IT産業の展開548第5章 工業・情報通信【情報通信】 41 「μコンピュータの研究」発刊に際して

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