北海道現代史 資料編2(産業・経済)
574/1104

の赤羽幸雄が道の依頼を受け、四市三町で「商店街診断」を行った感想が記されており、総じて「欠点ばかり」が指摘されている。具体的には、商店街による組織的な共同事業が低調であり、商店街を構成する個々の小売店舗も陳列や照明の工夫が見られないため、消費者の要求に応えられていないという。「商店街診断」は改善を要する課題を明らかにするために行われるものであるが、以後、全国的な動きと同様に、北海道の商店街は、行政による様々な支援も受けつつ、高度経済成長期にかけてこれらの課題に取り組んでいくことになる。商店街と百貨店との関係を、「買物傾向調査」としてみたものが資料4である。この調査は、一九五五年七月一五日から八月五日を調査期間として札幌商工会議所が行ったもので、札幌市内全域を対象に、「1.市内各小学校を通じて調査票を各家庭に配布」「2.市内各官庁、会社、工場等に調査票を配布」という方法がとられている。調査票の配布数は一万八千枚、回収数は四、七九一(回収率二六・六%)となっている。回答の形式は、品目別に購入先を「利用度」の百分比で答えるというものである。調査結果からは、衣料品、文化品、家具類はデパートからの購入が最も高い割合を占めていたことが分かる。全国的にも百貨店の戦後復興はめざましく、その隆盛は一般小売店による反百貨店運動を惹起して、一九五六年には第二次百貨店法が制定されるに至った。一九五〇年代後半以降、高度経済成長に伴って商業活動は急速に拡大したが、卸売業・小売業ともに新たな課題への対応も迫られるようになった。九八年に休会となるまで活動を続けた。事務局が小樽商工会議所に置かれたため、同所に連盟の内部資料や機関誌(『小樽卸商連盟会報』『小樽卸商連盟情報』)が残されている。会則によれば、連盟の事業は、①市場調査や資料の収資料5は、小樽卸商連盟の設立趣意書である。同連盟は一九六〇(昭和三五)年一二月に設立総会を開いて発足し、第二節 商業活動の拡大と課題560第6章 商業   

元のページ  ../index.html#574

このブックを見る