北海道現代史 資料編2(産業・経済)
577/1104

調査にも、旭川平和通商店街振興組合が発足したことへの期待が記されている(資料11)。平和通買物公園が日本初の恒久的歩行者天国としてオープンしたのは、一九七二年のことであった。省による「流通近代化ビジョン」策定の動きに呼応したもので、「ビジョン」の眼目は政策課題の明確化や方向づけを行う点にあった。紙幅の制約により、ここでは「提言」部分のみを収録している。全体としては、道外資本の進出、資本自由化、労働力不足といった経済状況の変化を踏まえて、モータリゼーションや情報化への対応などが課題とされ、物流を中心にしたシステム化の推進と、商業機能の適正配置も求められていたことが読み取れる。物流拠点として大規模な整備が行われたのが、資料13の大谷地流通業務団地である。大谷地流通業務団地は、「流通業務市街地の整備に関する法律」(一九六六年制定)に基づき、札幌市を施行者として同市白石区に整備され、六八年に国鉄貨物駅、七〇年に倉庫業、七一年に運輸業がそれぞれ開業を果たした。流通業務団地の整備は、都心部の交通渋滞緩和にも大きな成果を挙げ、道内においては、旭川市の永山流通センターや、函館市の函館圏流通センター、帯広市の帯広市物資流通業務団地などがこれに続いて整備された。他方、小売業においては、一九七〇年代から本州系大型店の進出が本格化した。資料14は、ダイエーの進出阻止を求める地元商店街の要望書である。この資料は、札幌商工会議所所蔵の「ダイエー(中心街ビル)進出に伴う調整に関する件」というファイルに収められたうちの一点で、札幌狸小路商店街振興組合理事長から札幌商工会議所に宛てられて、ダイエー進出が地元中小商業者の利益を害する旨が主張されている。ファイルにはこの資料のほか、札幌四番街商店街振興組合、札幌南一条振興会、札幌市三番街振興会による要望書が収録され、札幌商工会議所がこれらを資料12は、一九七〇(昭和四五)年にまとめられた「北海道流通近代化ビジョン」の一節である。これは通商産業第三節 「流通近代化」の展開と大規模小売店舗法563   解 説

元のページ  ../index.html#577

このブックを見る