見・要望とのすり合わせが行われた。商調協は商工会議所に置かれたため、道内の各商工会議所にも大型店の出店調整に関わる資料が残されることとなり、今後も貴重な歴史資料として保存していくことが望まれる。例えば、旭川商工会議所に残る商調協の議事録が、資料17である。商調協の議事は非公開で進められたこともあり、地元の利害をめぐって踏み込んだやりとりがなされていたことがうかがえる。大店法の枠を越えた動きも見られた。資料18は、一九八二年に苫小牧商店街振興組合連合会が作成した請願書の写しである。これに先立ち、一九七八年には苫小牧商工会議所により、市域人口が概ね二〇万人に達するまで大型店の進出を抑制する旨の宣言が発せられていたが、この請願書は、苫小牧市議会に対して大型店の新規出店凍結宣言を行うよう求めており、八三年一月の市議会で実際に請願が採択された。法的な拘束力のない宣言であったが、同様の動きは、道内各地だけでなく、全国的にも広がりを見せていた。ただし、大型店と中小商業者は対立するばかりではなく、資料19の例のように、中心市街地活性化と関わって、大型店を核店舗とした再開発に乗り出す動きも見られた。小樽市稲穂一丁目地区の再開発計画は、第一計画がキーテナントを予定した業者の撤退で頓挫した後、丸井今井百貨店の小樽店を移転新築して核店舗とする第二計画として実現をみた。資料からは、札幌市への購買力流出に対する強い危機感を読み取ることができる。年の大店法改正によって廃止された商調協に代わって、地元関係者による意見集約を行うために開かれた会議である。マイカル小樽は、一九九九年に売場面積約一〇万㎡の巨大施設として開業したが、開業直後から業績低迷にあえいだ。もともと小樽築港駅の貨物ヤード跡地を住宅開発とともに整備する再開発計画の一環として計画され、市が多額の税金を投入して周辺環境の整備を進めた。商業施設を構成する大型小売店が大店法の規制対象であったため、本資料のように意見集約会議の場で、計画の妥当性が話し合われていたのである。小樽商工会議所には、開発計画全体に関わ資料20は、大型複合商業施設のマイカル小樽に関わる意見集約会議の議事録である。意見集約会議とは、一九九一565解 説
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