1 国土の開発~新たなる国土計画の樹立第五節 過去における日本は、問題の解決を常に外に求めた。その結果、国内においても既に屢述せるごとき旧き社会的諸関係を残存せしめたと同時に、自らの国土の開発についても充分な努力が払はれなかつた。中世的な農村、舗装なき道路、不自由なる公共機関などは過去において内部の充実を怠つた諸施策の象徴とも見られよう。今後の日本は、過去において外に向けられたエネルギーを内北海道開発の位置と資源開発・基盤整備期外務省特別調査委員会『改訂日本経済再建の基本問題』一九四六年国土の開発に向け、社会的には旧き諸関係を清算して近代化に前進すると共に、健康且つ生産的な国土の建設に志さねばならない。国土の開発は国内における雇傭を増大し、国内生産力の向上により輸入負担を軽減し、さらに生産の環境を全般的に改善することによつて生産コストを引下げ、輸出貿易の競争力を強化する。従来我国における各般の施策は、目前の利害に追はれた糊塗的瀰縫策が多く、長期に亘つて顧みれば国力の損失あるひは濫費に終つてゐる場合が少くない。今後は出来得る限り基本的な諸施策に集中すべきであり、特に国家が自ら実施すべき諸施策は国民の活動力を能率的効果的に発揮せしむるごとき基礎条件の造出に資することを眼目とすべきである。 二、新たなる国土計画の樹立日本再建の発足点において新しき構想に基く国土計画が用意されねばならない。其の目標は民族健康の保持と、生産力の基本的培養に置かれ、其の上に人口と産業の能率的な配置計画が組立てられるべきであらう。〈中略〉第一節 地域開発46(1) 第1章 地域経済と経済政策
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