当社兼業の自動車事業は前年来の雪不足に恵まれ札幌駅前真駒内間は前年に引続き運行し、五月一日から簾舞まで、五月十六日から定山渓まで延長運転した。前年発せられた貸切自動車の運行営業停止は依然解禁されなかつたが、臨時路線の認可、修学旅行学生の誘致等に努め、更に八月一日からは札幌駅前に案内所を開設して旅客誘致とサービスの向上に努めた結果、前年に対比して人員二十九割増の三十五万六千余人、収入十四割増の六百二十六万八百円七拾銭の成績を挙げた。十二月下旬に入り札幌市内は降雪多量のため運転危険となり、且つ車輛手入れなどの関係で十二月廿八日全線の運行を休止した。昭和廿六年一月一日から昭和廿七年三月卅一日に至る当社業務の概況を次に報告する。三、運 本期間の運輸成績は前期に比べて旅客は人員約二割方〈中略〉減少しているが、原因としては警察予備隊の移駐、連合軍兵員の異動等によるもので、本州方面からの観光客はかえつて著しく増加した。旅客収入二分方増加については、遠距離乗客の増加、割引率の低い定期券利用客の増加及び廿七年一月からの運賃値上げによる増収が大なる原因と見られる。貨物輸送面については、前期に比べ瓲数約五分増加を示しているが、十月以降豊羽鉱山の再開による鉱石輸送が主な原因で、更に沿線鉱山の出荷計画など、一般貨物については前途の見透しに明るいものがある。貨物収入面二割増収については、鉱石輸送及び十一月以降運賃値上げによるものである。なお本年からは従来の暦年による会計年度を廃し、一 輸業 般会計年度(四月─翌年三月)に改められたので、本会計年度分は決算上十五ヵ月分を計上したものである。当社兼業の自動車事業は従来冬期間全線運転を休止し〈中略〉五、兼 〔第四拾期営業報告書〕687第1節 復興と輸送
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