月八日からこれも就航させ、十月一日及び十月八日に、それぞれ運航ダイヤの改正を行つた。これによつて荷物輸送力も若干増加したので、手荷物の受託制限を全面的に解除するとともに、小荷物についても、従来から受託していたもの以外に、西部総支配人関係管理局発のものは個数も少ないので制限を解除し、東北・関東・中部・関西各総支配人関係管理局発のものは個数を限定して受託することとし、大量同時に輸送されなければならない東京附近で発行される雑誌については、一日一車程度で別途計画輸送を行うこととした。以上のように、一般的に見れば今回の事故の影響は旅客輸送には比較的少なく、荷物や貨物の輸送の方が大きな制限をいまだに受けているといえよう。しかしながら、遭難者やその家族の旅客運送上の取扱、遺体・遺骨の輸送等については従来例をみない特異な扱をしたので、次にこれを少し詳しく述べてみたい。 三― 今回の遭難旅客は一〇〇〇名を超え、その居住地もほとんど全国にわたり、死亡者の遺体の発見収容が陸上の事故の場合と異なつて時日を要する上に、作業も困難をきわめるものと考えられるし、現行の旅客及び荷物運送規制等にある若干の規定も、今回のような大事故を想定して定められていないので、種々の特別な扱方をする必要があつたのである。まず遭難者の家族としては、何としても現地に一刻も早く赴きたいのは当然であるが、それには経費を要するし、かといつて国鉄側が遭難を確認してから無賃乗車証の発行をうけて旅行を開始するのでは、現地への到着が遅れてしまう。そこで特別措置を講じて、遭難者の家族から見舞又は引取りのために現地に赴きたい旨申出があり、遭難者の家族として認定できる場合には―二十七日から二十八日にかけて洞爺丸の乗船旅客の氏名を調べて発表したが、必ずしも乗船者の全部が網羅されていないので、申出者から事情をきき、洞爺丸に乗船していたと推定できる場合をも含むこととしたついて家族二名まで(鉄道管理局長が特認する場合は二遭難者一名に694第7章 建設業・交通【交通】
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