名を超えることができる)を無賃とし、発駅から函館までの二・三等往復乗車券を発行し、また急行列車を利用するときは、普通急行、準急行券を料金を徴しないで発 行することにした。なお青函鉄道管理局からの遭難公報(電報)を呈示して現地に赴く者に対しては、割当に余席のある場合、特別急行列車、特別二等車、二等寝台を無料で提供するよう運送上の措置を講じ、これらの旅客の旅行中の食事についても発駅の駅長又は車掌が、その片途行程の食事回数に相当する無料供食証明書を発行して、旅客は駅構内及び列車船内供食業者から証明書引換で食事と湯茶を受け取り、その供食業者に対する支払は国鉄が負担することとした。これらの旅行者を一般旅客と一見して識別できるようにする方が何かと便利なので、白地に「洞爺丸」と墨書したき章を胸につけさせることとし、その接遇や応待に十分気を配るようにした。また現地における供食、滞在費も国鉄が負担することにきまつた。以上の措置は二十七日中にとられたのであるが、この一連の措置により、遭難者家族の取扱の基本的な方針が確立されたといえよう。次に、遭難者中の生存者で乗車券を紛失した者の取扱については、運送規則は払戻しや再発行が旅客にいちじるしく不利になつているので、これも特例として、まず引き続き前途の旅行を継続する者に対しては、旅客運賃、料金を収受しないで、旅客の申告によつて紛失原券の着駅までの原等級相当の片道乗車券を発行し、青函管理局長が発行する洞爺丸遭難者であるという証明書に、乗車券の等級・区間等必要事項を記入して旅客に持たすこととし、また前途の旅行を中止して帰宅する旅客に対しては無賃送還をするが、既に支払つた運賃と未使用区間の急行料金、特別二等車料金又は寝台料金の払戻しを、管理局長の特別詮議によつて行うこととした。なお、いずれの場合も、急行列車、特別二等車又は寝台を利用したい希望があるときは、料金をとらずに急行券等の発行ができることとした。尤も特別急行券、特別二等車券、寝台券のように割当になつているものは、余席のあるもの695第1節 復興と輸送
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