北海道現代史 資料編2(産業・経済)
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に限ることはいうまでもない。上記の特別扱を受ける遭難者家族や遭難者中の生存者の旅行については、手小荷物も一人三個まで無賃とした。遭難者の遺体引揚作業は全力をあげて実施されたが、短時日で完了しえないことが漸次明らかとなり、遺体の確認・引取りのために急遽函館に集まつた遭難者家族が、一旦帰宅のうえ再度現地に旅行したり、あるいは家族の他の者が代つて現地に赴くことも起るし、また既に家族の一部のものが現地に赴いているが、他の家族が現地に行つて交替をすることもあり、これらについてはすべて当初の方針のように無賃で運送を引き受け、途中の供食を行うことにした。それから、引き揚げた遺体のうち身元不明の者がかなりの数に達したので、その特徴等を公示して死亡者の確認を行うことにし、十月五日、六日の新聞紙上に出した。この公示をみて死亡者の遺体確認のために旅行する者に対しても無賃輸送・供食等の便宜を図ることにしたが、不正旅客の便乗を防止するために、旅行者から警察官署発行の居住証明書の提出を求め、更に米穀通帳を提示させ、死亡したと思われる者との続柄や、遭難者が洞爺丸に乗船したと思われる事情等を聴取して、管理局で特別に詮議の上便宜を図ることとした。遭難死亡した旅客(行方不明者を含む)の運賃料金の払戻しについては、乗車券類があるものには無手数料で、また、乗車券類が発見できないものには、連絡船旅客名簿によつて認定できる乗車船区間・等級による運賃全額の払戻しを行い、未使用区間の急行料金、特別二等車料金又は寝台料金については、認定ができる場合に限つて青函管理局長の特別詮議により払い戻すこととした。定期乗車券の運賃は定期乗車券原票に基いて、九月二十七日以降の分を日割計算により無手数料で払い戻す措置をとつた。遭難者中の生存者及びその家族の託送した手荷物については、無賃で運送するほか、発駅返送、着駅変更等に対しても手数料を徴しないでこれを行うこととした。その他、輸送関係では、二四五遺体を主として荷物車 四   696第7章 建設業・交通【交通】

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