北海道現代史 資料編2(産業・経済)
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飛行機トラックに対抗 快速列車を運転 観光団用客車を常備お客はバスや飛行機にとられるし、貨物はトラックに流れてかつて陸の王者を誇っていた国鉄も数年前からかなり落目、ボヤボヤしていたらお手上げとばかり最近大手、からめ手からの巻返しに必死。道支社の計画している貨物の集約輸送、ヤード・パス列車、快速列車の新設などもその現れだ。六月から営業を開始した北日本航空札幌―稚内線の営業成績に部外者で一番敏感だったのは国鉄道支社。とい『北海道新聞』一九五九年八月二八日巻返しに必死の国鉄貨物も〝集約輸送〟うのは同線のにぎわいはそのまま札幌―稚内間準急〝利尻〟の二等客減少となるからだ。特別割引を飛行機が実施した六月中は完全に二等客を飛行機に食われ、七月になって大分盛りかえしホッとしたものの、数年後には札幌―釧路、函館、旭川と張りめぐらされるローカル空路網の威力をつくづく味わされた。来秋実施を目標に進められているディーゼル急行も裏をかえせばローカル空路網完成に備えた国鉄側の新布石。札幌―函館四時間半、札幌―釧路六時間でとばせば両地の飛行時間一時間、都心からの連絡時間をふくめれば二、三時間はかかる飛行機に十分対抗できようというのが国鉄の皮算用。貨物で収入の七割もかせぐ道内の国鉄にとってはトラックの進出はバスや飛行機よりもやっかいな存在だ。札樽を中心にするトラックの定期便は年々発達し雑貨、鮮魚などをはじめドンドンナワ張りを荒されて道内の場合、貨物総輸送量ではここ一、二年の間にトラックの方が国鉄をはるかに上回る有様となっている。    鉄荷造りは簡単、スピードも早いので少々運賃が高くと第二節 輸送量の増大と迫られる近代化飛行機、トラックに対抗 巻き返しに必死の国698第7章 建設業・交通【交通】28 

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