北海道現代史 資料編2(産業・経済)
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もというのが、国鉄対トラックの位置を逆転させた原因だが、このため道支社側でも今秋のダイヤ改正を機会に貨物列車の大幅なスピード・アップを実施、トラックのスピードを追い抜こうと秘策をめぐらしている。貨物列車は必ず操車場に寄り道して編成し直すといういままでの常識をまったく無視したヤード・パス列車(操車場通過列車)や引張る両数を減らして速度をあげる急行貨物列車、貨物列車の停車時間短縮などの画期的な手を打って貨物列車の平均速度を旅客列車の二倍ないし三倍に引上げ、札幌―釧路一日間、札幌―東京二日間の急行便を実現する。さらに、いままで一つ一つの中間駅に停車して貨物を集めていたいまの方法を徹底的に改め、中間駅で受付けた貨物をトラックで札幌、小樽などの大きな駅に集め貨物列車全部を中間駅通過で運転しようという集約輸送の方法も検討中だ。中間駅の荷主やトラック業者から猛烈な反対が予想されるので、ひそかに計画を進めているが、実現すればトラックに対する巻き返しの極め手になりそうだ。クモの網のように張りめぐらされたバス網も国鉄にはうるさい存在。定期路線の方は二、三年前から心がけてきたディーゼル・カーの配置による列車回数の増加やスピード・アップで着々功を奏しているが、最近足をのばしだした貸切バス、レク・バスの進出にはタジタジの体。札幌から阿寒、大雪まで走るバスが目立ってきたからだ。このため道支社では少ない手持ち客車からムリに観光臨時用の客車を常時二、三十両ヒネリだし、いつでも団体申込みに応じられる体制をすすめる一方、レク・バスに対抗して今秋行先不明列車や、自然科学列車など変った趣向のレク列車をドンドン運転、長い編成の列車が入らない支線の駅にもムリして観光列車をつっこむ乗りかえなし運転や列車をホテル代りに提供するなど前だれ商法にも出る。『北海道新聞』一九六一年六月七日国鉄、南回りを基幹線とする方針発表699   第2節 輸送量の増大と迫られる近代化29 

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