北海道現代史 資料編2(産業・経済)
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倶知安・小樽 活気づく室・苫地方 国鉄道支社は五日、函館―札幌間の幹線を現在の倶知安、小樽経由から東室蘭、苫小牧回りに切り替える方針を正式に発表した。十月のダイヤ全面改正で急行のほとんどは東室蘭回りになるが、予想されていただけに急行を奪われる沿線市町村民たちもあきらめきった顔。かわって噴火湾の沿岸はグンと便利になる。函館から札幌までは倶知安、小樽経由で二百八十六・三キロ、長万部から室蘭本線、千歳線経由の方が三十四・八キロ長い三百二十一・一キロ。距離だけからみれば〝北回り〟の方が有利。しかし北回りは山また山、冬は雪に悩まされ、沿線の〝市〟も小樽だけだ。これに反し〝南回り〟は雪が少ないうえ、空港を持つ千歳、工業都市としてますます発展の期待される室蘭、苫小牧両市を沿線に持つ。札幌―函館間の所要時間も北回りの急行〝まりも〟が五時間三十二分に対し、南回りのディーゼル急行〝すずらん〟は五時間で突っ走っている。沿線はあきらめ顔国鉄基幹線の南回り発表そこで国鉄道支社も十月のダイヤ改正を機会に幹線を南回りに移し、乗車効率の悪い函館本線長万部―小樽の合理化をはかることになったもの。十月から新設される函館―旭川間ディーゼル特急、函館―網走間急行も南回りとなる。このため東室蘭操車場の改良工事を十月までに終わり、操車能力を二千三百両に増強するほか、線路のとり替え、信号方式の改善などをはかる予定だ。今後、かつては本道を縦断する国鉄の動脈だった函館    本線長万部―札幌間はローカル線化するわけだが、小樽の市当局、商工会議所あたりも〝止むを得ない〟といったかお。国鉄としては重点を南回りに替えても、なお北回りに急行二本を残す方針で、小樽でも「これによって市の経済が決定的な打撃をうけることはない」とみている。また倶知安町でも函館本線の利用者が少ないこと、列車のスピード・アップが必要であることを認め、とりたてて反対することは考えていない。しかし「ローカル線になってサービスが低下するようだと困る。急行の代わりにディーゼル・カーや準急をじゅうぶんに通しても700第7章 建設業・交通【交通】

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