高速軌道は、地面から分離して、独立した専用軌道を走行することに本質があるから、その構造については、地下もしくは高架とする必要がある。地下と高架を比較してみるとき、運営上、全線にわたつて地下にすることは望ましいが、札幌市の都市規模、財政状況ならびに利用者の負担能力等からみて極めて困難な事情にある。したがつて、都心業務地域であつて、将来ともに多くの交通量が予想される地区を除いては、高架軌道とすることはやむをえない措置と思われる。この場合、高架とするにしても、民有地を買収して軌道敷を確保することは、地下に匹敵する建設費を必要とするので、可能な限り、道路、河川敷地等の公共施設を利用するとともに、道路幅員二五mを基準として、諸車の交通、消防活動、除雪等について配慮するとともに、軌道自体についても都市の美観を維持するにたる構造のものとする必要がある。4 車両とくに高架部において、車両の騒音が市民に与える影響が大きいので、現在札幌市において研究中のゴムタイヤ案内軌道方式車両を、高速軌道に採用することは原則として賛成である。技術上、運営上、多くの未知の要素を含んでいる。したがつて、本車両の開発にあたつては、車両自体はいうまでもなく、軌道、信号保安等関連する全分野にわたつて、綿密詳細な試験調査を実施し、その安全性、機能等について十分な資料をえた上で決定すべきである。5 帝都高速度交通営団の四者が高速鉄道を運営しているが、いずれも巨額な建設費とそれに伴う金利負担等によつて、多額の累積赤字をみている。 必要とされている。一方、市民負担の面から高速軌道〇㎞を建設するとしても、約三三〇億円の建設資金がしかし、本車両は新しい構想に基づく車両であり、料金と資金の確保現在わが国においては、東京都、名古屋市、大阪市、札幌市においては、前述の高速軌道緊急整備区間二706第7章 建設業・交通【交通】
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