北海道現代史 資料編2(産業・経済)
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の足を大幅にふやす必要が生まれてきました。しかもこのような路線はおもに通勤、通学のために利用され、朝夕のラッシュ時は満員でもあとはガラあきという状態ですから、どうしても赤字になるわけです。さらに、自家用車の急激な増加と、スピードを要求する現代の生活がハイヤー、タクシーの利用を増加させ、全体的な乗客の伸び悩みという現象が起こっています。2、人件費が高くなっている交通事業は、他の一般企業にみられるオートメー       多くの職員を必要とする事業です。したがって、経費ション化などにはおのずから限度があり、どうしてもに対する人件費の比率が他の企業にくらべて非常に高いのが特徴とされており、毎年実施される公務員給与の引き上げに伴うベース改定は収益の伸びを上回り、大きな赤字の要素となっているわけです。3、道路事情の悪化で輸送の効率低下市内の自動車台数は、昭和三三年当時の五、〇〇〇台から四二年には二万台近くにふえ、この一〇年間に急速な増加をみせています。加えて横断歩道や交通信号機の増設で、ますます車両の混雑を大きくしています。市バスのスピードもだんだん落ちてきます。同じ数の乗客を運ぶためには、いままでより多くの車両と乗務員が必要となりますから、それだけコストのほうも高くつくことになるわけです。4、値上げを押えられている公共料金きますが電車、バス料金は〝公共料金〟ということで据え置かれがちです。そのため、赤字はどんどんふえていくことなります。〝運賃値上拒否補償〟という制度で交通事業の経営を保護している都市もあります。このため、道路は車両による交通ラッシュとなり、このように道路事情が悪くなってきますと、市電、諸物価の値上りにつれて、事業経費も急激にふえてヨーロッパやアメリカなどでは、このような場合711第3節 モータリゼーションと交通再編

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