銭の収入に対して二六二円二五銭の経費で三二円の赤字、712バスが一五三円五六銭の収入に対して、一六二円六〇銭の経費で九円四銭の赤字となっており、電車、バスを合わせ毎日三七万円ずつの赤字を出しながら走っていることになります。このように、毎年ぼう大な赤字をかかえている市の交通事業は、一方では市民の足を守る立場から、バスの購入、電車の改造、施設の整備などをしていかなければなりません。しかも、この費用はすべて借金でまかなわれ、その利息だけで五、八〇〇万円も払っているという、たいへん苦しいやりくりを続けているわけです。しかし、これ以上の赤字状態が続いては、市民の足の確保にも支障をきたすおそれも出てくる最悪の状況になっています。こうした市電、市バスの赤字は、ひとり函館だけでなく、他の都市でも軒なみに赤字を出しています。表三事業の経営難は、いまや全国的な問題となっています。市の交通事業は、税金を財源としている一般会計とちがって、乗車料金で車両の購入や施設を整備し、借り入れ金の元金や利息を払い、人件費をまかなっていく〝公営企業〟と呼ばれているものですから、適正な料金が企業にとって収支の重要な要素となっているわけです。つもりつもった赤字が五億円赤字が出はじめた昭和三三年からことしの三月までに、市電、市バスの経営収支は五億四、七六九万円もの赤字を出しました。これは、一年間の料金収入のほぼ四三パーセントにも及ぶ、ぼう大な額に当たり、今年度はさらに二億四、七〇〇万円の赤字がふえる見込みです。走れば走るほど赤字次の表〈略〉は、市電、市バスが一キロメートル走ると、どのくらいの収入があり経費がかかるかを、まとめたものです。四二年度の場合を表でみますと、電車が二三〇円二五〈略〉は、その実態の一部を紹介したもので、都市交通赤字は全国的な悩み 第7章 建設業・交通【交通】
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