る営業所は、なるべく一カ所にまとめたり、また、乗客の流れに応じた配車をするために有利な場所に移したりして、極力むだをはぶいていきます。これらによる余じようの土地や施設は、売却して再建のための資金として活用していきます。6.国への働きかけ交通事業が赤字に苦しんでいるのは、ひとり函館市だけではありません。六大都市をはじめ全国ほとんどの都市がこの問題で頭を悩ましています。自動車の激増による道路事情の悪化から、大量輸送機関である市電、市バスのノロノロ運転を招き、これが利用者に不便をかけ、交通事業の赤字原因ともなっています。そこで函館市では、共通の悩みをもつ各都市に呼び 制の採用を国に働きかけています。かけて、今日までの赤字に対する補助や、物価対策に対する強力な政策や、市電、市バスを優先する交通規やむを得ぬ料金改定交通事業の赤字をすくなくするための経営合理化やその他の方策によっても、現在の赤字克服には限度があります。そこで最後の方法として、市電、市バスの料金を値上げしなければ健全な事業経営が続けられないという状態になっています。市民の足である市電、市バスの料金は、安いほどよいにきまっています。ですから、交通料金は公共性をもっているため、一般の物価が値上りしても乗車料金の値上げはおさえられているわけです。しかし、乗車料金の抑制も度をすぎると、公器であるはずの市電、市バスの機能がまひしてしまいます。市民の足である市電、市バスの料金は、常に適正な原価に見合うものでなければなりまんせん。公共料金だからといって、原価に償わないままにしておくことは、いたずらに赤字を積み重ね事業の継続に危機を招くことになるわけで、公器としての意味を失うおそれもでてきます。市の交通料金値上げは、二五万人市民のたいせつな足として輸送を続けていくための最少必要限度の改定であ714第7章 建設業・交通【交通】
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