ります。どうか市の交通事業の実情と料金改定について、市民各位のご理解をお願いする次第です。なお、料金改定の具体的な内容については、次号でくわしくお知らせしたいと思います。一.五十五年の歩みに立つバス事業の実状1.創始から五十五年の歩み 北海道における民営バスの創始は全国に十一年おくれての大正三年であるから、本年、五十五年を迎えることになる。しかも、陸上交通に恵まれない根室市において土地の人大津滝三郎氏により、八人乗りフオード二台(一〈一九一四~六八年頃〉北海道バス協会『北海道におけるバス事業の実状と問題点』一九六八年(函館市中央図書館所蔵)台三千五百円といわれている)を以って根室・厚岸間に路線を限定しない乗合運輸事業が開始されたのである。大正三年三月八日にはじめて「自動車取締規制」が公布され自動車を自働車と書かれ、この規則一つで運転のことから車体検査、営業のことまで一切総括されたのである。バス事業の発祥を見たのは大津氏の烔眼にもよることではあるが、当時のオホーツク漁場の基地としての根室市の殷賑を物語る挿話であろう。路が悪かったので、ガソリンやタイヤの消耗が甚しく、車体の故障もまた多く、気息奄々の運行を続ける状態であったから、途中お客に歩いて貰うことが普通であり、とうとう最初多かった利用者も次第に減り経営困難となって一年半ばかりで約七千五百円の欠損を出し当時自動車運輸事業は北海道庁警察部の所管に属し、こんな時代に北辺の根室に奇想天外とも考えられるしかし、折角こうして発祥したバス事業も何しろ道北海道におけるバス事業の実状と問題点715第3節 モータリゼーションと交通再編32
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