8 る会(アピール文)〈一九七三年七月一二日〉大資本奉仕・公害たれ流しの苫東開発に反対すさらに、社会生活環境についてみると、水道、下水道は必要な地域にほぼ普及し、都市公園面積は約二倍になり、幹線道路はほぼ全線舗装され、電話は全世帯の七〇%に普及するなど社会生活環境の質的水準は大幅に高まる。目標年次における土地利用についてみると、北海道の総面積約七八五万ヘクタールのうち、農用地については、宅地化などによるかい廃もあるが、草地造成などにより総体として約一三〇万ヘクタールに拡大する。林地については、地域的な変動はあるが、総体的には現状の五六〇万ヘクタール程度が確保される。原野は、積極的な開発利用によつて大幅に減少する。住宅地、工場用地等を含めた宅地については、おおむね二万ヘクタール増加して約七万ヘクタール程度になるものと見込まれる。また、市街地面積は都市人口の増大などにより倍増し、約六万ヘクタールに達する。なお、この計画に示された目標年次の諸指標は、計画の構想をくずさない範囲で弾力的に解するものとする。苫東開発計画は、関係地域住民に対して何らの相談も説明もないままに、中央段階で着々とその準備が進められてきた。この計画の発想は、地域住民がより豊かな生活を求める手段として要請したものではなく、日本列島総公害化をもたらし、世界に類例のない高度成長を遂げた日本資本主義が、残された唯一の重化学コンビナート候補地として求めてきたものであり、資本の要請による押しつけの計画であり、住民不在の開発計画である。 六月一六日、政府の関係各省庁の連絡会議での確認に苫小牧環境問題対策協議会『苫小牧東部開発計画との闘い』一九八一年(北海道立図書館所蔵)〔「大資本奉仕・公害たれ流しの苫東開発に反対する会」採択アピール(苫東大規模工業基地反対運動小史)〕60第1章 地域経済と経済政策
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