北海道現代史 資料編2(産業・経済)
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は何故だろうか、不思議に堪えぬ問題であります。然しそれには、それなりの条件を必要とするでしよう。先づ経済の発展に先行するものは人の交通の便と物的流通の円滑にして人の住み良く活動を容易とする事でありまして、茲に私共が新日本海フェリー開設を計画した所以であります。2.本事業の構想   A.本フェリーは、冬の日本海は、荒海と云う悪条件を勘案して我が国造船技術の粋を蒐め而も大型にして、超高速と云う、世界にも類例のない精鋭船で自然の難関を克服せんとするもので、時速二二ノット、小樽/舞鶴間を二六時間で走破し、国鉄特急二五時間と略々匹的するもので、次に列挙する様なかつて夢想だにしなかつた、画期的事業であります。B.安全にして事故なく使用船舶は長さ一六一米、巾二六米と云う巨大船にして船底部は、一〇数区画の水密装置となつて居り、一車の重量六〇トン迄の大型トラック、トレーC.大量に而も早く確実にD.本事業の有利性ラー等が一〇〇台を積込め、中甲板の一部に一五〇台の乗用自動車を積み、中甲板及び上甲板に八〇〇人の客室娯楽室を有する貨物、乗用車、旅客を一挙に輸送する最も合理的、優秀船で人も荷物も全く安全であります。斯る大量輸送にして、小樽/舞鶴間五七三浬を二二ノットで二六時間航行を確実にする事は、舞鶴/大阪のハイウエー完成と相まつて、一昼夜余りで結ばれる事として従来の輸送体制と比較して非常な時間短縮となり然も如何なる荒天といえども、先づ欠航は余りないと云う事が本計画の卓越せる特長で、現在飽和状態である青函連絡の複輳緩和に大いに役立ち、国家的事業と申せましよう。本事業は貨物車、乗用車、旅客を一緒にして大量に輸送する事に依りそれぞれ運賃が安いと云う事、殊に貨物については、戸口から戸口へ一貫輸送の為729第3節 モータリゼーションと交通再編

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