二、特定地方交通線の承認申請昭和五十六年六月十日、国鉄は白糠線を含む全国四〇線を特定地方交通線として、運輸大臣に承認申請を行った。その内容について、地元白糠町への説明に対し、「容認するわけにはいかない、存続に向け抵抗行動を行う」が町長の第一声であった。以前から白糠町は、常に赤字ローカル線の爼上にある白糠線の対策には敏感に行動してきており、国鉄再建法の成立を巡っても「国鉄白糠線を守る会」(会長町長)を結成し、町を挙げて中央関係機関への陳情や阻止行動など、活発な反対運動が展開されており、「永年にわたる住民の悲願で開業させた線」、「血と汗の開拓農地の分断を許した白糠線だ」、「足寄までの開業が悲願だ、廃止は許せない」等厳しい地元町との接触が始まりとなった。三、協議会会議開催に向けて国鉄再建法に、その取り扱いが細部にわたり定められており、「協議会開催に向けて」と改めて紹介するのも不思議なような話であるが、筋論だけでは割り切れない地域住民の心情論なども働き、住民代表であり、会議構成員である公共団体の首長さんは、一様に判で押したように、会議に応じていただけるような雰囲気ではなかった。特定地方交通線の承認申請に対する道知事の意見書も、難渋の末五十六年九月三日に提出され、国鉄再建法に基づく手続きを経て、五十六年十月一日、転換に向けての会議開始希望日は五十六年十一月二日と決定した。しかし、道及び町は、円滑な会議開催を願う国鉄からの要請を即是とはしなかった。もちろん、それなりに事由があるわけで、それぞれ理解を求めていかなければならないものの、議論は広範にわたり容易ではない。しかし、疑問はいずれつきることと信じ、些細な事柄であっても、対面による即答をモットーに折衝を重ね、会議開催までの一年間に約八〇回も町に足を運ぶに及んだ。その結果、当初の厳しい対応も少しずつ和らぎ「悪法も法、守らねばならぬ」との町長735 第4節 進む高速化と赤字路線問題
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