夏、秋の完全国体である「はまなす国体」が「君よいま、742北の大地の風となれ」をスローガンに開かれ、選手、役員だけで三万人が参加し、関係業界への寄与は大きなものがあった。観光のもたらす経済波及効果は道内総生産の八・九%を占める一兆二二五八億円、観光消費額は農林水産業に迫る八六〇八億円―。平成二年、道の北海道観光産業経済効果調査委員会が昭和六三年の数字をまとめたこの調査結果は、第一次産業の衰退に悩む自治体、企業に大きな刺激となり、六月、札幌と網走市で開かれた観光立県推進地方会議(議長・瀬島龍三日商特別顧問)で横路孝弘道知事は全国初の観光立県宣言を行い、「自然環境の保全、質の高いもてなしの推進、参加・体験型の観光地づくり」などを目指して、短期・中長期の重点施策を展開する方針を打ち出した。この年(平成二年、一九九〇)八月、イラクがクウエ ロッパにまで及んで海外旅行者は急減した。さらに長崎ートに侵攻、湾岸戦争に発展し、緊張は中東からヨー体が代替バスを走らせることとなった。鉄道廃止後の地域住民の足としてバスが代替輸送に当たっているが、過疎の進行により経営への負担が大きくなっている。道バス協会は地域の足を守るため、地方バス路線維持費補助制度を確立するよう、日本バス協会とともに中央、地方への運動を続けた。北海道ブームの中の観光立県宣言札幌オリンピックを契機に札幌を中心に道路網は一変し、観光貸切バスはブームを迎えた。昭和五七年にも北海道博覧会が開かれ、本州から多くの観光客を呼んだ。また冬のスポーツ、レジャーにも関心が高まり、夏季ばかりでなく冬季にも観光客が訪れるようになり、デカンショ観光といわれた北海道にも、ようやく通年化の期待が生まれて来た。スキー客の増加のほか、雪まつり、冬まつり、流氷観光など、厳しい寒さを逆手にとった冬のイベントに招かれて、訪れる客が増えている。年号が昭和から変わった平成元年には、北海道で冬、〈中略〉第7章 建設業・交通【交通】
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