資料9は、一九五九年九月に開催された、道炭婦協主催の指導者講習会での(教育)分科会討議の議事内容で、炭炭鉱地域では、その地域社会に育まれた女性の運動体があった。一九五二年に設立された日本炭鉱主婦協議会(炭婦協)がそれである。新生活運動や子どもの教育など、生活面の取組を中心に炭鉱の労働組合とも協調し、労働争議などでは家庭から組合活動を支える積極的な活動が行われている。鉱労組と炭婦協との立場・関係の確認や、地域の中での教育環境などが話されていた。戦前から続いていた「女坑夫」や「選炭婦」など、女性を交えた炭鉱の労働構成や、炭住や共同浴場など社会性を増幅する濃密な地域空間もあって、炭鉱には女性の社会参加を育む土壌と風土があった。炭鉱では、石炭の生産量を拡大するための採掘技術や、安全性を高めるための保安技術など、積極的な技術革新が進められた。それまでは、「先山」・「後山」と呼び分ける労働者の技量(技術・経験)を基として、長年、採掘・保安ともに過度な対策を講じることなく、労働生産性との見合いでの操業が続けられていた。しかし、炭鉱での労働災害は、労働・経営環境や自然条件などもあり、結果として国内では最後の炭鉱が消滅するまで、坑内での事故や災害の発生がなくなることはなかった。炭鉱での各種技術は直接生産能率に結び付くものとして、大手炭鉱を中心に、欧米からの先進技術の調査・導入が炭鉱の女性(炭婦協)炭鉱の技術第二節 採炭技術と炭鉱災害756(1) (3) 第8章 鉱業・エネルギー【鉱業】
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