北海道現代史 資料編2(産業・経済)
777/1104

苦しさが北電にも影を落としていたのである。滝川、砂川、奈井江など、内陸石炭火力問題はこの時期から続いていたことが理解される。経済成長と都心部への人口集中は札幌市も例外ではなく、一九六〇年代後半以降の煤煙問題は深刻であった。そこで、個別暖房ではなく地域集中暖房の必要性が提起され、市長の諮問を受けた札幌市公害対策審議会による答申「札幌市中央地区地域暖房計画」を基に、一九六八(昭和四三)年一二月に株式会社北海道熱供給公社が発足、七一年一〇月には一期工事が竣工し、市内二二の建物への供給が開始された。工事が急がれたのは、翌年二月から始まる冬季札幌オリンピックに間に合わせるという背景があった。市公害にみるように、石油火力発電所が大気中に硫黄酸化物、窒素酸化物その他煤塵を放出することは明らかであり、これを規制することは既に常識であった。他方、同発電所には冷却水の温排水問題があった。漁業関係者は、これが直ちに漁に影響すると考え、発電所運転に対しては神経をとがらせていたのである。本資料は伊達火力発電所の運転に当たって地元漁業関係者がいかに不安を募らせていたかを示すものである。発電所自体は一九七三年四月着工、七八年一一月三〇日に一号機が運転開始となるが、地域住民、とりわけ漁民との合意はたやすいものでなかった事情がうかがえる。町)と交わした「公害防止協定」(一九七七年九月二一日締結)である。北電はその前年七六年五月には漁業補償問題を解決し、それを受けての協定締結となった。工事は七七年一一月に着工、八〇年一〇月には一号機が運転開始している。一号機は当初国内炭を使用し、海外炭に一部転換するのは八七年六月であった。二号機は海外炭専焼で計画資料28では、札幌市において熱供給事業が開始された事情が、都市環境問題との関わりでまとめられている。高度資料29は、伊達火力発電所の建設に当たって、地元漁協から提出された漁業影響調査に関する要望書である。四日資料30は、厚真火力発電所の運転に当たり北電が地元自治体(道、苫小牧市、千歳市、早来町、厚真町及び鵡川763解 説   

元のページ  ../index.html#777

このブックを見る