労務者、特に今一番不足しております坑内夫や、重要な仕事をしております坑外夫を優先的に新しく建てた住宅に入らせまして、そういう方針によりまして、本年度石炭の三、〇〇〇万トンをぜひ掘って、それから一般住宅の建設を漸次増していきたいと考えております。宮田 結局一般国民は、石炭増産のために今不自由な狭い住宅に住んで辛抱して、一日も早く石炭が現在よりはるかに増産されて、一般住宅の建築も今より楽に出来る日を待っていると、こういうわけですね。和田 そうなんです。このことは炭鉱のみなさん方の胸の内に是非よく入れておいていただきたいと、私は思います。宮田 炭鉱の住宅というものは、今まで私たちが聞いておりますところでは、ずいぶんひどいようなんですけれども、今新築されております炭鉱の住宅はどんなものでしょうか。阿部さんどうぞ。阿部 これまでの炭鉱労務者住宅は、概ね、通称坑夫長屋と言われるように非常に狭い、しかも非文化的でそして古びた住宅でありました。日本の産業の基礎資材であるところの大切な石炭を掘っております坑夫さん方に対しまして、まったくお気の毒な有様なので、できる限り立派な住宅を建てていただきたいとお願いしておりますが、ご承知のように現在の日本ではあらゆる資材が払底しておりますために、なかなか思うようには出来かねております。炭鉱関係の住宅を計画どおり完成させるために、先ほど安定本部総務長官の言われましたように、一般国民の方々の住宅、例えば戦災であるとか引揚者であるとか、そういう方の住宅は、これはだいたいただいま四二〇万戸ほど不足しているのでありますが、それに対しまして極めて僅かしか建てないぐらいに切り詰めまして、余裕をここに作って、炭鉱住宅を建設するように計画しております。このために、先般来復興院でも炭鉱住宅課を新設いたしまして、その建設に馬力をかけておる次第であります。 773第1節 戦後復興と石炭政策のトレース
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