生活は多くの分野で札幌市の都市機能への依存度を強めており、このような傾向は札幌市の人口と産業の一層の集中と過密の弊害をもたらすことが憂慮されている。このような地域間にみられる不均衡を是正し、すべての道民がどこに住んでいても、健康で豊かな生活を営むことができるよう、安定した就業の場の創出と快適な生活環境の整備に努め、安定感と充実感のある地域社会をつくることが重要な課題である。このため、それぞれの地域に、その特性に応じた産業を積極的に育成し、就業機会の確保と所得の向上に努めるとともに、医療、教育、福祉、住環境あるいは交通などの面で住民が生活に不安を感ずることのないよう、その整備を体系的に進める必要がある。また、地域住民の高度の医療や教育あるいは都市的な生活への欲求を満たすとともに、多様な職業選択の機会を確保するためには総合病院、大学、美術館、百貨店、劇場などいわゆる都市的サービス機能や施設を備え、産業の集積度の高い都市の育成が必要である。一方、食糧や資源などの重要な生産の場である農山漁村には、人間のふるさとともいうべき豊かな自然が残されており、都会に住む人の田園へのあこがれは都市化の進展とともに一層強まってくるものと思われる。更に、今後は自動車の普及や道路網の整備などから地域間の時間距離の短縮が予想されるので、都市と農山漁村がそれぞれの持つ特性を相互に補完しあって、調和のとれた広域的な生活空間を一体的に形成していくことが必要である。このような考え方に立って、これまでも整備に努めてきた広域生活圏の一層の整備充実を進め、農山漁村で満たすことのできない住民の欲求は、広域生活圏の中心的役割を果たす都市において充足され、その中心都市においても満たされないより高度な欲求は、都市機能の集積が高く、その勢力圏がいくつかの広域生活圏にまたがる地方の中核都市において満たされるよう、それぞれの段階に応じた都市施設や機能の積極的な整備充実を図るとともに、就業機会の拡充に努め、できるだけ札幌市の機65 第1節 地域開発
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