を中心に、需給、生産、鉱害、産炭地域振興等の各面にわたつて石炭対策の強化が図られた。しかしながら、四〇年に入つて山野、夕張炭鉱等の重大災害が相ついで発生するとともに、労務状況の不安定、生産面および保安面における整備の立遅れ等により予想外の出炭不振が生じ、金詰まりの深刻化、収支採算の悪化が招来された。しかも、石炭鉱業は過去数年にわたる大規模かつ急激な合理化過程において発生した過重な費用の負担により、多額の累積赤字、累積債務をかかえ、今後の合理化努力をもつてしても自らこれを解消することは困難な状況にあり、このまま放置することを許されない事態にたち至つた。5 このため、通商産業大臣は、四〇年六月石炭鉱業審議会に「石炭鉱業の抜本的安定対策」について諮問を行ない、同審議会は個別石炭企業の経理状況の詳細な検討を前提に、その危機をもたらした原因とそれに対する対策を慎重に審議した結果、四〇年一二月の中間答申につづいて、四一年七月二五日に石炭の位置づけ(五、〇〇〇万トン)、債務の肩代わり(一、〇〇〇億円)、安定補給金、閉山交付金単価の引上げ、石炭対策特別会計の新設等を骨子とする本答申を行なう運びとなつた。ない、今後の石炭対策の基本的方向を確立した。の変化は予想以上に厳しく、四二年一〇月中旬には大手の再建整備会社が倒産するという事態も生じ、労務者の急速な流出、自然条件の悪化等による出炭の不振と、出炭減に伴なう損益の悪化、資金調達の困難が顕著化し、現状のままで推移すれば遠からず全面的な崩壊に逢着することは、必至の状況となつてきた。6 るべき姿を求めるため、四三年四月二六日石炭鉱業審議会を開催し、「今後の石炭対策はいかにあるべきか。」について諮問を行なつた。同審議会では長期的かつ国民経済的視野に立つて、生産、流通その他経営政府はこれを受けて四一年八月二六日閣議決定を行しかしながら、答申後の石炭鉱業をとりまく諸情勢かかる状況にかんがみ、政府は石炭対策の今後のあ789 第1節 戦後復興と石炭政策のトレース
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