とに定刻午前十時、全山の悲しみを象徴するかの様にサイレンが一斉に響き渡り全従業員と其の家族が一分間の黙禱を捧げ故人の冥福を祈つている間に藤森労務課長代理の司会に依り導師山辺仏心寺住職ほか十三名の僧侶が霊前に着席、鼓鉢三通が悲しみをただよわせて伝わる。静寂な会場に田中社長のすすりなくような弔辞を読む声が涙でかすれ、芹田所長も胸中のあふれる悲しみをこらえ切れず声は途切れ男なきして読む弔辞に会場の人々も目をぬぐつていた。連日の心労と不眠に疲れ切つている藤森坑長は〝許して下さい皆さん! 上げます。私の最も信頼し最も期待していた優秀なる諸君を一瞬にして連れ去つてしまつた通り魔を恨むほか術もない私です。〟と三十九名のありし日の姿を語れば遺家族はじめ各参列者の間からあちこちにすすり泣く声が洩れ会場はおえつの巷と化した。愛知通産大臣(代理)、田中道知事(代理)、札幌保安監督部長、阿部炭労中央執行委員長など十九通の弔辞を終り、英国燃料動力相始め各界より寄せられた弔電の披露が寺山事務長よりなさ心から御詑び申しれ続いて「三十九柱の霊よ永久に安かれかし」と山辺住職ほか十三名の僧侶に依る法話、読経のうちに遺族の焼香が行われ最後に遣族代表〔人 厚情溢れる御好意をたまわり且つ盛大な葬儀を執行して頂き故人も安らかに永眠してくれた事と思います。われわれ遺族もこの悲しみを乗り越えて力強く生きて行く決心です。」と埃拶をなし午後一時沢田事務長の閉式の辞によつて、当所開坑以来の悲劇をうんだ合同葬の式を閉じた。この間会場入口に設けられた一般焼香席には当所従業員と其の家族が早朝より長蛇の列をなし百香流れる中を三十九柱の冥福を祈るため敬けんな祈りを捧げていた。災害対策委員会「太平洋炭鉱瓦斯爆発災害原因について」(太平洋炭礦㈱総務部長「坑内変災関係綴」所収)一九五四年一一月三日(釧路市教育委員会所蔵)名〕さんが「皆様の御② ガス爆発災害原因の究明803第2節 採炭技術と炭鉱災害
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