方が昇坑し、労使や家族の代表が坑内員を温かく出迎えた。同日付けで約一〇〇〇人の全社員が解雇されるが、再就職として固まっているのは釧路コールマイン(中島太郎社長)の五四〇人だけ。池田社長は一〇一人の興発グループへの受け入れについて「半年をめどに固めたい」としている。この日は午前六時から一番方三〇三人が入坑。「太平洋炭砿の社員として今日が最後の入坑。歴史と伝統を守るため、最後までゼロ災害で」と主任坑内員が号令し、坑口に向かった。一番方は午後二時に昇坑し、安全靴の音が響く繰り込み所で、池田社長ら役員、太平洋炭鉱労組の千葉隆委員長ら執行委員、北海道鉱山保安監督部の横山勝雄部長が待ち受け、「ご苦労さまでした」と声を掛けてヤマの男たちの最後の仕事をねぎらった。この後、池田社長は記者会見し、「社員は本当によくやってくれたと思う。何とか自力で五カ年計画を行いたかった」と唇をかみしめた。発生から一年が経過した自然発火について「減産し赤字を覚悟していた矢先で、大きなダメージとなった」と振り返り、閉山によるグループへの影響を精査することや、半年をめどに離職者の受け入れを明確にする方針を示した。また伊藤勝治常務は、二九日に新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)に閉山交付金を申請したことを明らかにした。同社は同日深夜に入坑する三番方で操業を終了。新会社に譲渡した第五本坑道(海面下約三〇〇メートル)を除く、すべての坑道の密閉を二月中に完了させる。太平洋炭砿の閉山を受け、釧路コールマイン(中島太郎社長)は三一日から本格的に動き出す。同社も三交替の勤務で、同日午前七時に一番方の坑内員が集合。保安教育を受けた後、同九時二〇分に入坑し新会社としてのスタートを切る。綿貫健輔釧路市長 悪の結末を迎え、無念でくやしい。石炭産業は釧路市の基幹産業の一つで、地域経済の発展に貢献した。市民を代表し心から感謝する。今後従業員の再就職先の確保や無念でくやしい関係者の懸命の努力も空しく、最818第8章 鉱業・エネルギー【鉱業】
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