するもので、高品位クロム(昭和三三年全国生産額の一〇〇%)・石綿(同一〇〇%)・重晶石(同八六%)・水銀(同八二%)などが代表的なものである。このほかに、わが国においては、本道以外に全然産出をみない特殊な資源として砂白金がある。戦時中には最も盛んに採掘の行なわれたもので、昭和一九年には二三㎏余の生産をあげたが、終戦後は次第に減少し、稼行地は廃絶した。3.主要鉱産物本道の主要鉱産物の首位にあるものは石炭である。埋蔵炭量は全国の約五〇%を保有し、年産一、六〇〇万t内外、全国生産額の三〇%余を占め、道内産業の根幹となつているものである。金属鉱物で全国生産額の五〇%内外を占めているものは金・マンガン・砂鉄、三〇%内外を占めているものは銀・鉄などであるが、これらの鉱物は将来とも、その生産を多く本道に依存せざるを得ないであろう。鴻の舞は今後もわが国における金山の王座を保持しつづけるであろうし、銀は将来も金・銅・鉛・亜鉛などの増産にともなつて、自然に増加することは明らかである。マンガンは五万t内外の生産をあげて、わが国マンガン鉱山の首位を競う上国・稲倉石をはじめとして、今井石崎・大江・八雲などわが国屈指の大鉱山を数多く擁する本道の地位は極めて高く評価さるべきものであろう。鉄は主として褐鉄鉱であるが、本道の製鉄原料としては最も重要な資源である。徳舜別・仲洞爺・倶知安など年産五万t以上の鉄山はいずれもこの種の鉱床に属するものである。褐鉄鉱は火山地帯の山間に生成されているものが多いので、交通路が整備されるにしたがつて、遂次開発に移されてゆくであろうし、また、新鉱床の発見される機会も多くなるものと思われる。砂鉄は噴火湾および亀田半島を巡つて広く分布し、わ が国生産額の過半を占めているものであるが、低品位鉱の処理が可能となつたため鉱量は著しく増加した。全国生産額の二〇%内外を生産しているものは鉛・硫黄・滑石などであり、一〇%内外を生産しているものは、825第4節 戦後の北海道鉱業
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