転換期を迎える北海道開発の課題北海道を取りまく将来の環境は厳しい。しかし、北海道には、変化に富んだ豊かな大地やパイオニア精神の息吹き、ユニークな文化の芽ばえ、バイオテクノロジーなどの先端技術を生かした新しい産業発展の素地がある。また、世界につうじる北のかけ橋となる地理的条件もととのっている。この一〇年間は、変化する時代の流れを生かして、 第四期北海道総合開発計画の計画期間を通じて停滞気現在の停滞から脱け出し、二一世紀への飛躍の基礎を固めていく重要な時期となる。2 転換期を迎える北海道開発の課題味に推移した北海道の経済社会は、計画の終盤になって(北海道立図書館所蔵)北海道開発庁『第5期北海道総合開発計画』一九八八年基盤施設整備の進展や大型補正予算等が効果を発揮し、ようやく明るさを取り戻しつつあるが、既に述べた石炭、鉄鋼等の生産縮減のほか、北洋漁業規制の強化、農産物の市場開放要求の高まりなど、一段と厳しさを増す四囲の情勢に対処しつつ、産業構造の調整や多極分散型国土の形成など国全体の課題の解決に貢献するとともに、二一世紀に向かう経済社会の大きな変化に積極的に対応することが求められている。さらに、札幌及び周辺に人口や諸機能の集積が進む中で、これらの集積と道内他地域が有する特色ある集積を相互に活用しつつ、各地域の創意、工夫に基づく開発整備を進め、北海道全体の活性化を図ることが課題となっている。北海道の開発は、このような状況を受けて、安全でゆとりのある国土の形成に努め、生産・生活基盤の一層の整備を強力に推進して、遠隔性や積雪寒冷などによる北海道の不利な条件の克服を目指さなければならない。また、北海道の経済を支える食品加工等の諸産業を振興し、新たな産業の積極的な導入を進めて産業及び経済の活性7414 第1章 地域経済と経済政策
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